物語 STORY
心の琴線を鳴らす時代
HeartStrings10年前、バンドはHeartStrings(心の琴線)という名のもと、人間の生々しい感情をストレートに表現し、聴く者の心と直接共鳴することを信じていた。
人と人が偽りなく向き合い、音楽という生身のエネルギーを通して「個と個の繋がり」を生み出そうとする、純粋で人間賛歌的なアプローチだった。
変容した世界と「気づき」
10 Years of Silenceしかし、この10年で世界は静かに、だが劇的に変容した。テクノロジーの進化、アルゴリズムによる最適化、SNSによる情報の波。
人々が自発的に抱いていると思っていた「感情」すらも、実は見えないシステムによって誘導され、デザインされているのではないか。
かつて信じていた「心の琴線(HeartStrings)」は、いつしか自分たちを縛り、システムを都合よく動かすための「操り糸(Strings)」へとすり替わっていた。
世界は美しい繋がりなどではなく、冷徹な「仕掛け」で回っていた。
絡繰~KARAKURI~の誕生
Evolution「仕掛けを壊すためには、自らがより高度な仕掛けにならなければならない」
絶望の中、システムに飲み込まれることを良しとせず、彼らは一つの結論に辿り着く。
感情をむき出しにして叫ぶのではなく、冷徹なインダストリアル・ビートと精密な多弦ギターの鋼の響きで自らを武装する。AIやテクノロジーという「システム」を積極的に取り込みながら、その内部に人間固有のグルーヴや葛藤という「バグ」を意図的に混入させる。
かつての「琴線」は、「回路」や「蜘蛛の糸」へと姿を変え、すべてを繋ぎ、絡めとる「絡繰(カラクリ)」となった。
「絡繰~KARAKURI~」への進化は、過去の否定ではない。
見えない歯車に支配されたこのディストピアで、それでも人間であることを証明するために、
システムに抗うための「新たな戦闘形態」への進化である。